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 片山正臣の死体が発見された翌日になって、有力な物証が見付かった。
 それは、猿の死骸であった。正臣の死体が発見された三十メートル程林の中を下ったところに、ボーガンに射られ息絶えた猿の死骸が見付かったのである。
 このことから、正臣が何故死に至ったのか、自ずから察せられた。
 即ち、正臣は猿に間違われ、誤って何者かに射られ、その結果、死んでしまったというわけだ。猪や雉などと間違われ、誤射によっての死亡事故は、跡を絶たない。言わば、猟銃がボーガンに替わったというわけだ。それが、今回の事件であったというわけだ。
 そして、猿を射殺したボーガンは直ちに回収され、ボーガンに付いていた指紋が採取された。だが、ボーガンには指紋が付いていなかったのだ。
 そのことからも、犯人の慎重さを窺うことが出来た。 
 そして、その結果を受け、捜査は長引きそうな雲行きとなって来た。
 捜査の的はボーガン愛好家に絞られたとはいえども、果して猟銃のように、その所有者を把握してるわけでもないので、一層捜査は長引きそうな塩梅であった。

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