6 決定的な証拠
それは高垣の携帯電話に保存されていた動画であった。
高垣の遺品をチェックしていた妻の早苗が、高垣の携帯電話に保存されていた動画の中にとんでもないものがあったのを見付け出したのである!
その動画は、かなやま湖の夜に撮影されたものであった。かなやま湖キャンプ場に詳しい鬼頭がそう看做したのだから、間違いなかった。
そして、その場面は二人の男と一人が争ってる場面であった。
二人の男と一人の男が、罵声を浴びせて言い争っていたのだ。
そして、程なく、その二人の男が一人の男をかなやま湖に突き落としたのだ!
その決定的な場面が録画されていたのだ。
また、その録画された日時が七月三の午後十一時十分であった。そして、それは、秋草さんの死亡推定時刻に一致しているのだ!
即ち、この動画は、秋草と秋草を死に至らしめた者との言い争いの場面を録画した動画なのだ!
そう理解した早苗は、この事実を鬼頭に直ちに知らせた。
それを受けて、鬼頭は直ちにその動画を見てみた。
すると、鬼頭は厳しい表情ではあるが、満足したように肯いた。何故なら、鬼頭は生前の秋草の写真は見たことはないものの、鈴木とは先日話したばかりだ。そして、秋草と思われる男と言い争ってる二人の男の内の一人が、確かに鈴木だと直感したのだ!
即ち、この動画から推測出来ることは、秋草と鈴木と相川が、何らかのことで言い争いになった。そして、その結果、鈴木と相川が、秋草をかなやま湖に突き落としたというわけだ。もっとも、鈴木と相川に殺意があったのかどうかは分からない。しかし、いずれにしても、秋草を死に至らしめたのは、鈴木と相川であることは確実であろう。
そして、高垣はこの動画をネタに、鈴木と相川をゆすったのではないのか? その結果、もたらされたのが、高垣の死であったということだ!
この推理に自信を持った鬼頭は、早速鈴木から話を聴くことになった。これだけ有力な証拠があれば、鈴木はもう逃れることは出来ないだろう。